イータイピングの拗音「っゃゅょ」が[x~] [l~] で打てなくなった仕様変更について
イータイピングで拗音「っゃゅょ」などが単独で入力できなくなりました。
今までは
あっさり → assari、altusari、axtusari
など、「っ」を単独の ltu で入力しても受け付けていたものが、ssa のようにしか受け付けなくなりました。
つまり、
あっさり → assari
しか入力できなくなります。
これによってどのような影響が出るのか。
水増しタイパーにとってはシンプルに改悪なんですが、一般のユーザーにとってはメリットもあるので、どういうことなのか軽く書いていきます。
致命的な誤爆が起きにくくなる
たとえば今までは「あっさり」assari を打とうとして、s の近くの x を誤打してしまったら、
仕様変更前は ax と入力した時点で、axtu しか受け付けなくなるので、assari と打ち直すことができません。
これは xtu を知っている人なら対応できるんですが、知らない人は s を打ち直そうとしてミスを連打してしまいます。
(実際、YouTube配信でそのような光景を見かけたことが何回かあります)
また、自宅練習ならリトライすればOKですが、もし派遣会社のスキルチェックなどでイータイピングが一発勝負で使われた場合、このような連続ミスをすると、実際のスコアよりも相当低い点数になってしまいます。
これ、ミスはミスなんですが、"実際の文章入力ではミスにならない" ものが致命的なスコアの低下につながってしまうのが問題と言えます。
なので、意図的に xtu を打とうとしない限り、一般的なユーザーにとっては仕様変更後のほうが誤爆が起きにくくなります。
この点についてはTwitterでもe-typing公式から言及があるので、一応裏付けのある変更となっています。
その問い合わせの多くが初心者の方からでしたので、修正することにしました。また、使用時に近くでサポートする人がいる他の法人向けサービス等では仕様変更は行わず、オープンサイトのみの仕様変更です。混乱させてしまって申し訳ございません。
— e-typing (@keybo_et) December 1, 2020
無駄な運指を無理やり矯正できる
たとえば「ティ」は thi が最も打鍵数が少なく効率的になりますが、「大学生におけるローマ字入力速度と綴り選択に関する研究」によると、
texi 、teli が最も多く、下位群ではつづりを間違えている生徒も多いことがわかります。
要するに、高校生までに thi を習っていないか忘れていると思われるので、その状態でイータイピングをプレイすれば、texi で入力してしまう可能性もあるでしょう。
ブラインドタッチについて書いた記事のローマ字つづりのもくじでも説明していますが、明らかに運指が悪くても、慣れた方法を使ってしまうのが現状です。
それを仕様変更によって強制的に thi しか受け付けなくすれば、無理やり矯正することができるので、今後、無駄なつづりでタイピングすることを防ぐことができる、とも言えます。
「っゃゅょぁぃぅぇぉ」の拗音は、x~、l~ で入力してもそんなに支障がない文字もあるんですが、基本的には仕様変更後のつづりで打ったほうが、(普通の人にとっては)無難な、合理的な打ち方になります。
thi みたいな特殊なつづりは多少の記憶負担があるので、学校で教えたところで全員が覚えられません。
なので、メジャーなタイピングサイトが強制的に制限するのが、もっとも矯正力があるとも言えるかもしれません。
マニアックなつづりの影響
ただ、「打てれば何でもええねん」という人にとっては不便になるので、今後どのくらい影響があるのか気になるところ。
たとえば「ツァ」は、最小打鍵数で打つと tsa なんですが、知らない人も多いと思います。tula tuxa で打つ人も多いんじゃないでしょうか。運指的にも tula のほうが打ちやすかったりします。
もっとマニアックなものだと「トゥ」twu があります。知ってる人・使える人はほとんどいないでしょう。これも瞬間的に思い出せないなら tolu toxu で分解して覚えているほうがマシ。
どちらも含まれてちょっと知名度がある単語だと、人名の「ツァラトゥストラ」がありますね。
こういう馴染みの無いつづりもすべて制限されてしまうと、お題によってはユーザーが混乱したり、前よりも打ちにくくなる可能性はあるかもしれません。
打てない文字があるかもしれない
まだ未確認なのでなんとも言えませんが、単独で「っ」が入力できないということは、「あっ!」みたいな問題文が打てないかもしれません。
※まぁもし打てなかったら致命的なので、発見されたらすぐに問い合わせが来て修正することになると思いますが。
水増しタイパーへの影響
さて、ここからちょっとタイパー的な話を。例によって「あっさり」について。
e-typingでは altusari のほうが同指連続打鍵が無く、単位時間あたりの打鍵数が増えて、スコアが上がります。
e-typingのスコアを上げるために xtu ltu を使うことを水増しというんですが、そのテクニックがまるごと使えなくなるので、水増しタイパーにとってはシンプルに改悪になってしまいます。
実際の文章入力では水増しに意味が無いとはいえ、ゲームとしての楽しみがひとつ無くなってしまうユーザーもいるのは事実なので、むしろこれはe-typingが誰の方向を向いてサービスを提供しているのか、ということかもしれません。
まとめ
結局、どちらも満足させるならユーザー側で仕様を選択できるようにできればいいんですけどね。
(開発の手間がどれくらいかかるのか全く知らないのでなんとも言えませんが)
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※追記:スタート画面で L を押しながらスペースキーでスタートすると、今までのあいまい入力を使えるように対応したそうです。
スタートするときに毎回ひと手間が発生しますが、とりあえずの落とし所でしょうか。